太陽光発電の保守点検
太陽光発電システム保守点検ガイドライン(太陽光発電協会ほか)
◆ホットスポット
ホットスポットは、太陽光パネルの汚れ・破損・影などで一部のセルに負荷がかかり異常発熱する現象で、火災の原因にもなります。赤外線カメラ(サーモグラフィー)を用い、周囲より高温(白〜赤)に映る箇所を特定する点検が有効です。日射量が十分ある昼間に、適切な角度で撮影することがポイントです。
ホットスポットの仕組みと点検のポイント
- 仕組み: 鳥の糞、落ち葉、影、またはマイクロクラック(微細なひび割れ)により、パネルの局所的な発電が阻害される。その箇所に電流が集中し、抵抗となって発熱する。
- 点検方法(赤外線カメラ): サーモグラフィーカメラを使用し、パネル表面の温度分布を可視化する。ホットスポットは正常部よりも明らかに温度が高く表示される。
- 点検のポイント:
- タイミング: 日射量が多い日(太陽光がしっかり当たっている時間帯)
- 撮影方法: パネルに対して斜めから撮影し、撮影者の映り込みを避ける
- 方法: 地上からの手持ち撮影、またはドローン空撮(メガソーラーに有効)
- リスク: 放置するとパネルが焼損、最悪の場合は火災に至る可能性がある。
早期発見のために、赤外線カメラによる定期的なメンテナンスが義務化・推奨されています。
◆配線路探査器による接続不良点検
- 仕組み: 測定器から専用の信号(高周波信号など)を太陽光パネルのストリング(直流回路)に印加し、回路に沿って受信器を移動させながら信号強度を測定します。信号が途切れたり、極端に弱くなったりする場所が、断線や接点不良の箇所となります。
- 特徴:
- 天候不問: 太陽光による発電が不要なため、雨天、曇り、夜間でも点検可能。
- 高精度: 接続箱のブレーカーから数〜数十メートル離れた屋根上のパネルや、架台内部の隠れた接続不良も特定可能。
- 安全性: 安全な低電圧・低電流の信号を使用するため、活線状態での調査も可能ですが、基本は停電・断線調査に用いられます。配線路探査器(ケーブルトレーサー)を用いた点検は、太陽光パネルの直流回路に微弱な信号を送り、その信号を検知することで、断線や高抵抗箇所(接続不良)を特定する手法です。天候に左右されず、通電できない夜間や曇天時でも、安全かつ高精度に不良箇所を特定できるメリットがあります。
具体的な点検手順
- 準備: 調査対象のストリングを接続箱から切り離し、配線路探査器の送信機を接続します。
- 信号印加: パネル配線に特定の信号を流します。
- 探索: 受信器を持って太陽電池モジュールのケーブルを追い、信号の到達状況を確認します。
- 不良特定: 信号が届かなくなる点や強度が急減する箇所を見つけ、その付近のコネクタやケーブルの不具合を確認します。
◆バイパスダイオードの点検
太陽電池パネル内のバイパスダイオードは、パネルの一部に影がかかった際、その部分のセルを迂回して電流を流し、出力低下やホットスポット(過熱)による破損を防ぐ重要な部品です。故障すると電流が回路内に滞留し、パネルの出力が大幅に低下(3分の1程度)する「クラスタ故障」が発生します。点検は、サーモグラフィーカメラで異常発熱を検知する、またはEL(エレクトロルミネッセンス)検査装置で確認する方法が効果的です。
1.バイパスダイオードの役割
- 回路の保護: 太陽光パネル(モジュール)の裏面ジャンクションボックス内に設置され、パネルの一部に影がかかる、落ち葉が付着するなどして発電しないセルが発生した場合、そのセル(クラスタ)を迂回させて電流を流します。
- 損壊防止: 影による抵抗で電流が止まり、その部分が過熱する(ホットスポット現象)のを防ぎ、パネル全体を保護します。
2. バイパスダイオードが不具合を起こしている事象
- クラスタ故障(出力低下):
- ダイオードが短絡故障すると、パネルの約3分の1の領域が常に電気的にバイパス(迂回)された状態になり、その分発電しなくなります。
- 発熱: ジャンクションボックス付近が局所的に熱を持ち、経年劣化や雷サージで故障が加速します。
- 測定結果: クラスタ故障が発生しているパネルは、正常なパネルに比べて電圧が下がるため、開放電圧(Voccap V sub o c end-sub)の低下として測定されます。
3. 点検方法
- サーモグラフィー検査: 太陽光パネルに日射がある環境でカメラを撮影し、特定のクラスタだけが冷たい、あるいはジャンクションボックスが異常に熱い場合、バイパスダイオードの故障が疑われます。
- EL(エレクトロルミネッセンス)検査: パネルに電流を流して発光させる検査で、暗く映る領域(クラスタ)があれば、その部分のダイオード故障が確認できます。
- 開放電圧(Voc)測定: パネルの直流電圧を測定し、定格より極端に低い(例:33Vのパネルが22V程度)場合はダイオードの故障が疑われます。



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