自家発電設備の点検方法が改正されました(平成30年6月1日施行)

点検方法の追加や点検周期の延長など幾つの改正が行われています。上記リンク情報には改正前と跡の比較が解りやすく記載されています。
非常用自家発電機は、火災などの災害時に停電してしまった場合でも、設置されている防災設備が動作するように防災設備専用に用意されている電源設備です。そのため、非常時に正常に動作するかどうかを定期的に点検する必要があり、その点検の際に行われるのが負荷試験によるものと内部観察に依るものがあります。
商用電源を止められない負荷試験では、模擬負荷装置という試験装置を用いて、発電機に電気的な負荷をかけ発電機の定格出力の30%以上の負荷をかけて運転します。
どちらの方式が可能かは事業所で判断しますが、小規模の発電機であれば、停電の上、事業所の防災負荷をかけて行うこともできますが、商用電源を止められない事業所での100,200kW 以上の発電機では、模擬負荷装置を導入し、本線とは切り離し実施するのが合理的かと思います。
また、屋上や地階など自家発電設備が設置されている場合には、擬似負荷装置を利用した点検ができない場合があるため、従来の点検方法のあり方を消防庁が検証した結果、改正が行われました。
<改正ポイント> 
①負荷運転に代えて行うことができる点検方法として、内部観察を追加
総合点検における運転性能の確認方法は以前は負荷運転のみでしたが、改正後は負荷運転もしくは内部観察等となりました。
②負荷運転及び内部観察等の点検周期を6年に1回に延長
負荷運転の実施周期は一年に一回でしたが、運転性能の維持に係る予防的な保全策が講じられている場合は6年に1回となりました。
③原動機にガスタービンを用いる自家発電設備の負荷運転は不要
負荷運転が必要な自家発電設備は以前は全ての自家発電設備が対象でしたが、改正後は原動機にガスタービンを用いる自家発電設備の負荷運転は不要となりました。
④換気性能点検は負荷運転時ではなく、無負荷運転時等に実施するように変更
換気性能の点検は負荷運転時に実施することとされていましたが、改正後は無負荷運転時に実施することとなりました。
内部観察とは
改正内容で明記されている内部観察が意味するものは下記の項目を確認することを言います。
<対象項目> 
①過給器コンプレッサ翼およびタービン翼ならびに排気管等の内部観察
過給器のコンプレッサ翼とタービン翼の運転に支障をきたす汚れや残留物がないことを確認し、部品の損傷や欠損についても確認します。
②燃料噴射弁等の動作確認
燃料噴射弁の試験器を使用して、燃料噴射弁の開く力が問題のない範囲であることを確認するとともに、燃料噴射弁の先端から液だれがないかも確認します。
③シリンダ摺動面の内部観察
シリンダライナ摺動面に運転に支障をきたす損傷や摩擦がないことを確認します。
④潤滑油の成分分析
オイルパン等から潤滑油を抜き取り、その成分に異常がないかを確認します。
⑤冷却水の成分分析
ドレインコック等から冷却水を抜き取り、その成分に異常がないことを確認します。
予防的な保全策とは
不具合を予防する保全策としては以下のような確認交換等を行います。
予熱栓、点火栓、冷却水ヒーター、潤滑油プライミングポンプがそれぞれ設けられている場合は1年ごとに確認が必要となります。
潤滑油、冷却水、燃料フィルター、潤滑油フィルター、ファン駆動用Vベルト、冷却水用等のゴムホース、パーツごとに用いられるシール材、始動用の蓄電池等についてはメーカーが指定する推奨交換年内に交換が必要です。
上記改正ポイント②に記載のとおり、自家発電装置の負荷試験または内部監察は保全策を取っていれば6年に一回に行えば良いこととなりました。
メンテナンスが大切なことは言うまでもありませんが、点検業者の中には、この改正を負荷運転の年⒈回の義務付けと宣伝している所もありますので、正しく理解して頂き対応されるのが賢明です。
なお、冒頭のリンク情報 PDFの最後にある(別添1)運転性能の維持に係る予防的な保全 (参考例)も参照下さい。
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